半導体を確保・政府審査で中国製品排除も…経済安保法案の概要判明 讀賣新聞 20211114
政府が来年の通常国会への提出を目指す経済安全保障推進法案(仮称)の概要がわかった。
〈1〉サプライチェーン(供給網)の強靱(きょうじん)化
〈2〉基幹インフラ(社会基盤)の機能維持
〈3〉特許の非公開化
〈4〉技術基盤の確保――の四つが柱となる。
米中両国が経済や技術分野で覇権を争うなか、半導体の確保や機密情報の保護、技術の海外流出を防ぐ仕組みなど経済安保に関する国内体制の整備を促進する。
複数の政府・与党関係者が明らかにした。法案には、供給網の強靱化に関して、半導体などの国内生産基盤の強化を図る支援制度が明記される見通しだ。半導体などの国内供給が滞る事態を避けるため、工場建設への補助金交付などを通じて、海外企業の誘致や日本企業の国内回帰につなげる。
半導体はパソコンや自動車など多くの製品に不可欠だが、日本は国内需要の6割強を台湾や中国などからの輸入に依存する。コロナ禍では供給網の混乱などで半導体が不足し、国内の自動車メーカーが減産を余儀なくされる事態も生じた。
基幹インフラの機能維持では、通信やエネルギー、金融などの事業者が重要設備を導入する際、安全保障上の脅威となり得る外国の製品やシステムを導入しないよう、政府が事前審査する制度を盛り込む方針だ。インフラの安定運用に影響を与えかねない中国製の排除などが念頭にある。経済産業省幹部によると、各業界を規制する既存の法律では、安保上の理由で脅威国を排除する措置が十分には取れないという。
特許の非公開化は、次世代兵器開発などに利用できる先端技術の流出を防ぐ目的がある。日本の特許制度は一定期間の経過後、出願内容が公開されてきた。非公開対象に指定された場合、国が特許出願者に補償金を支払う仕組みも検討する。
技術基盤の確保では、人工知能(AI)など先端技術の研究開発に、政府が保有する情報や資金を提供できる仕組みを検討する。民間の技術を将来的に防衛分野で活用する展開も見込む。
政府は19日、岸田首相をトップとする経済安保の関係閣僚会議の初会合を開く予定だ。首相は有識者会議の設置を指示する方向で調整しており、法案具体化の作業を加速化させる。
戦略物資の確保、「民間任せ」に限界
政府が経済安全保障を巡る法整備を急ぐのは、半導体などの戦略物資の確保や、先端技術の育成・保全の分野では、民間任せの取り組みに限界があるためだ。
日本の半導体産業は1980年代後半、世界シェアの半分を占めたが、現在は1割ほどの水準だ。「産業のコメ」と呼ばれる半導体産業の再興と安定供給の確保は、ものづくり大国・日本の復権に欠かせない。
政府の働きかけが奏功し、半導体受託製造の世界最大手・台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県での工場新設を表明するなど、前向きな動きもある。政府は、国内生産基盤の強化に向けた支援制度を法案に盛り込み、さらなる誘致を狙う。
法案は先端技術研究の振興にも力点を置く。文部科学省によると、自然科学分野で引用数が上位10%に入る質の高い論文数で、1位の中国に対し、日本は10位。政府にとって、規制強化にとどまらず、先端技術を生み出す、産官学による研究開発への投資も重要になる。(政治部 栗山紘尚)
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